ギャラリー「馬と獅子」
展示企 画書
巳巳
展覧会概要
この展覧会は、私とその家族が自宅で食べた卵の薄皮(30年分)をギャラリーの赤いカーペットの床の真ん中に円形に配置する展示をメインとします。
このギャラリーの持つレトロモダン調の様式的な美を活かし、赤いカーペットに明快な円を描きます。

展示風景
コンセプト
この展示のコンセプトは、「意識の中の造形」です。エジプトのピラミッドのように「シンプルに頭の中で思い描くことはできるが実際に見たことはない」というものをつくることです。実際に札幌に存在しているものの、私の住む東京からは少し遠いギャラリー「馬と獅子」という場所で行います。
私は普段関東を中心に活動しており、私を知る人も関東近辺に多くいます。
関東付近で暮らしている私を知る人々、そしてこの展示のことを知った全ての人が「札幌にあるギャラリーの赤い床にある白い卵の薄皮の円」を思い浮かべる、、、たとえ現地に行かなくても写真や映像をみて「頭の中にある造形物」として想像の中にそれがつくられる。。それが、この作品のコンセプトです。
もちろん、実際に訪問して現地で鑑賞することが、もっとも望ましく、展示とは本来そういうものです。それが契機となって観客が実際に現地を訪れることとなれば本当に素晴らしいです。
今回の企画募集の一つの意図は「遠さ」と考えました。
北海道は地理的特性上、他の地域を拠点にしている人には気軽に行けるところではありません、募集要項にもそのことが企画の意図であると書かれています。
この展示は、その「遠さ」を活かした造形と考えています。
コロナ禍以降、「遠さ」「距離」は「リモート」や「ディスタンス」という言葉とともに独特の意味を持つようになりました。
札幌は遠いが、行けない距離でもない。また「オンライン在廊」というギャラリー側の考えも、その「距離」を表現していると思います。

展示説明

アンティークのショーケースにも卵の殻を入れる
展示内容詳細と説明
素材は卵の殻の内側にある薄皮で、自宅で卵を食べるたびに薄皮を剥がして乾かし、こつこつと集めてきたものです。30年間つづけてきました。
独身のときは一人で、結婚してからは二人、子供ができたら三人で、時間の経過とととも集積していったものです。
これは、私が芸術と生活を分けて考えず生活から出るものでアートをつくるという発想の基に続けていることです。
四つの四角い展示台に白い卵の殻を入れ、部屋の四隅に置いて薄皮の出自を示し、それを守護するように配置します。またアンティークのショーケースにも卵の殻を入れ同様の効果をもたらします。ショーケースはギャラリーに入って左側の壁際に置くのが良いかと考えています。
展示搬入
展示搬入は、あえてリモートで行います。これも「遠さ」「距離」を表現する方法です。
作家在廊とイベント
最終日を土日とし、私が実際に会場に居てトークなどを行いたいと思います。現場における場の力を再確認し実物の意味を確かめ、来場の人と共有したいと思います。
マルチプル作品の販売
この展示物は非売品であり、また会期が終わると撤収してしまいます。
この会場を記念するようなマルチプル作品を制作し、販売します。